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日本の近代登山発祥の地 北アルプス・上高地−中高年チャレンジ

 穂高岳や槍ヶ岳といった、日本を代表する高山への入口が上高地です。明治に入り、日本にも欧米風に楽しむための登山が幕を開けました。その第一歩となったのが上高地です。
 キリスト教の宣教師だった、イギリス人のウォルター・ウェストン(1861年-1940年)が、1893年(明治26年)に上高地に入り「日本アルプス」と名付けました。この時案内したのが猟師だった上條嘉門次で、現在でも「嘉門次小屋」が山小屋として営業されています。上高地に流れる梓川のバスロータリーと反対側にはウエストン碑があり、毎年6月には「ウエストン祭」も開かれています。上高地は抜群の景観で、登山をする人向けの山小屋だけではなく、帝国ホテルなどのリゾートホテルも多数あります。

散策するだけでも楽しめる上高地

 車を利用して上高地まで足を運んでみましたが、沢渡(さわんど)の駐車場に車を置いてそこからはタクシーを利用しました。駐車場は1日500円。タクシー1台が4000円なので、4人ならバス利用より安くなります。
 東京を夜11時過ぎに出て、沢渡の駐車場に到着したのがAM4時ごろ。途中にある釜トンネルのゲートが5時にならないと開かないので、それまでは駐車場で一休み。その時、上を見上げると東京とは比べ物にならない星の多さです。オリオンや東京ではぼーっとしか見えないスバルがはっきりと見えました。
 釜トンネルも新トンネルになり、通行がしやすくなっています。古い釜トンネルは沢渡側から行くと入口のところへは落雪が多く、よく通行止めになりました。新トンネルでは、それがなくなったそうです。タクシーの運転手さんが教えてくれました。

「朝焼けの宿 明神館」です。朝日に輝く明神岳が目の前に美しく見えます。河童橋から約3kmの距離です 「朝焼けの宿 明神館」です。朝日に輝く明神岳が目の前に美しく見えます。河童橋から約3kmの距離です 「西糸屋山荘」です。山小屋風の造りになっています。バスセンターからだと、梓川の対岸になります 「西糸屋山荘」です。山小屋風の造りになっています。バスセンターからだと、梓川の対岸になります

 日本の近代登山は上高地から始まりましたが、せっかく上高地に行くなら、ウエストンとともに覚えておきたい名前が志賀重昂(しがしげたか 1863年-1927年)です。
 1894年(日清戦争のあった年です)に、日本初のアウトドア解説書ともいえる「日本風景論」を出しました。ほとんどの部分は、地質学的な解説ですが、後半に「テントの張り方」や「急流の渡り方」など、おもしろい文章が掲載されています。例えば「急流の渡り方」では、イラスト入りで川の流れの早いところを見分ける方法や流れの早いところを渡る時には石を持って渡るなど方法が解説されています。
 現在ではこの部分の文章やイラストは、イギリスの本からの引用であることが知られています。興味のある方は、講談社学術文庫で「日本風景論」を探してみてください。また、「登山の黎明―「日本風景論」の謎を追って」も合わせて読むと楽しめます。
 その後、1905年(日露戦争の始まった翌年です)になると小島烏水(こじまうすい)らによって日本山岳会が設立され、いよいよ日本に登山という概念が定着しました。

やはり対岸にある「上高地温泉ホテル」です。こちらは、一般的なホテルの造りになっています。名前のとおり、温泉があり入浴だけでも露天風呂が楽しめます やはり対岸にある「上高地温泉ホテル」です。こちらは、一般的なホテルの造りになっています。名前のとおり、温泉があり入浴だけでも露天風呂が楽しめます

 まだ薄暗い頃に上高地バスターミナルに到着して、とりあえず河童橋まで歩いてみます。じょじょに明るくなってきて、穂高岳の主峰である前穂も見えてきます。
 空は快晴のようで、雲ひとつ見えません。絶好の散策日和です。
 目的地は、井上靖さんが「氷壁」という小説を書いた徳沢園。ゆっくり歩いて約3時間の距離です。登山をするわけではないので、小さなリュクが1つだけの軽装ですから足取りもスムーズです。
 徳沢園までは、途中で1箇所だけゆるい登りがあるだけであとはほとんど平坦な道です。
 「氷壁」は、登山のザイルが麻からナイロンに変わるころに書かれたもので、ナイロンザイルが岩の角などにあたると簡単に切れてしまうことが社会問題となりました。それをテーマに書かれた小説です。現在では化学繊維も進歩して、撚り糸になったり擦れにも強い素材が登場し麻のザイルは姿を消してしまいました。
 昔は、今よりはるかにハードな岩登りが盛んで、徳沢園から少し先にある屏風岩と呼ばれる大きな岩壁には、それこそシーズンには毎日のように、ザイルをつないだパーティーが貼り付いていました。「カーン」「カーン」というハーケンを岩に打ち込む音がよく聞こえたものです。岩登りも今では、ハーケンを使わずに「ボルト」と呼ばれる岩に与えるダメージの少ない用具に変わりました。
 途中で本格的な登山スタイルをした人たちに多く出会いましたが、びっくりするほど中高年の方が目立ちました。とくに中高年の女性の多さにはびっくり。女性だけのグループもいました。
 驚くのは、ほとんどの人がストックと呼ばれる、杖のようなものを両手に持っていることです。ストックは岩場では役に立ちませんが、それ以外のところでは疲れを軽減するのに効果があります。ただし、登山道を痛めるので注意が必要です。

上高地帝国ホテルのレストラン「アルペンローゼ」です。昼間のランチタイムなら、比較的気軽に食事ができます。当日も中高年女性を中心に多くの客で賑わっていました 上高地帝国ホテルのレストラン「アルペンローゼ」です。昼間のランチタイムなら、比較的気軽に食事ができます。当日も中高年女性を中心に多くの客で賑わっていました

 中高年の方や山登りをしない方におすすめの上高地散策コースは、河童橋から明神池、そして徳沢園までを体力に合わせて選ぶといいと思います。梓川沿いに歩くコースは広葉樹が多く、明るい日差しが気持ちいい散歩道です。
 河童橋から明神池が約3km、そしてさらに徳沢園までが同じ3kmほどの距離です。往復では当然距離が倍になりますから、その分を考えて歩いてみてください。行きは、川上に向かって右側を歩いたら、帰りには明神橋で対岸に渡って違う道を歩いてみてはいかがでしょうか。シーズン的には、梅雨明けの7月ごろから10月末ぐらいまでが気持ちのいい季節です。
 静かに上高地を楽しみたい方には、8月20日以降がいいでしょう。その頃になれば、夏休みの混雑もだいぶ緩和されます。朝早く上高地に到着すれば、充実した1日が楽しめます。時間に余裕があれば、上高地帝国ホテルでのランチやティータイムもオシャレです。スイスの山小屋の雰囲気のロビーラウンジの「グリンデルワルト」では、ケーキ付きでコーヒーや紅茶が1700円ほどです。 (2012-10月)

上高地帝国ホテル自慢のビーフカレーです。値段は2520円でした。じっくりと煮こまれた軟らかいビーフがごろごろ入っているルーがたっぷりついてきました。もちろん、味のほうも文句なし。多種類のスパイスがふんだんに使われているのがよくわかります。大盛りもできますが、ちゃんとルーも多くなります 上高地帝国ホテル自慢のビーフカレーです。値段は2520円でした。じっくりと煮こまれた軟らかいビーフがごろごろ入っているルーがたっぷりついてきました。もちろん、味のほうも文句なし。多種類のスパイスがふんだんに使われているのがよくわかります。大盛りもできますが、ちゃんとルーも多くなります
【北アルプス・上高地 Photo Guide】
日の出前の上高地です。朝もやの中に美しい梓川が流れています。朝もやは陽の光が当たると消えてしまいます 日の出前の上高地です。朝もやの中に美しい梓川が流れています。朝もやは陽の光が当たると消えてしまいます 明神館の奥にある、穂高奥宮への参道入口です。明神館の前にあります。奥へ進むと明神池と穂高神社があります 明神館の奥にある、穂高奥宮への参道入口です。明神館の前にあります。奥へ進むと明神池と穂高神社があります
明神館から上高地のバスセンターまでは約3kmです。散策するにはちょうどよい距離だと思います 明神館から上高地のバスセンターまでは約3kmです。散策するにはちょうどよい距離だと思います 梓川沿いに歩くと、ずーっと左側に見えるのが明神岳です。朝日が当たると美しく輝きます 梓川沿いに歩くと、ずーっと左側に見えるのが明神岳です。朝日が当たると美しく輝きます
積雪で道が通行止めになる冬季には、徳本(とくごう)峠からの入山が一般的でした 積雪で道が通行止めになる冬季には、徳本(とくごう)峠からの入山が一般的でした 明神橋です。ここから梓川の対岸に渡って、一周するのもおすすめのコースです 明神橋です。ここから梓川の対岸に渡って、一周するのもおすすめのコースです
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中央写真

 北アルプスの入口が上高地、南アルプスの入口が広河原ですが、ロケーションは上高地が圧倒的に優れています。よく写真でみる梓川と背景の穂高岳の組み合わせは、他では見られない美しさです。写真は田代橋からです。
 JR松本駅やアルピコ交通(旧松本電気鉄道)の新島々駅からバス利用が一般的なアクセスです。

中央写真

河童橋です。右横にいる2人の女性は、登山スタイルではなくちょっとした散策の雰囲気です。夏季の河童橋周辺だけなら、スニーカー程度の装備で十分に北アルプスの雰囲気を楽しめます。写真は、バスセンターから来ると、河童橋を渡った反対側からです。

中央写真

2012年に創業80年を迎えた、上高地帝国ホテルです。昔は、冬季には雪下ろしをしたりする番人小屋が近くに建てられました。食事はもちろん、サービスも上高地で最も上質といえます。宿泊は、中高年などの年配客が多くなります。静かな環境でリフレッシュしたい方におすすめです。

中央写真

こちらは、帝国ホテルラウンジの「グリンデルワルト」の入口です。入ると少し床が上げられています。実際に行ったことはないですが「ヨーロッパアルプスにあるホテルってこんな感じだろうな」というオシャレな造りです。ケーキセットがおすすめです。正直、珈琲はもう少し頑張れると思いますが、ケーキの美味しさで納得です

1880年に上條嘉門次によって建てられた嘉門次小屋です。現在のご主人は4代目になります。奥にはウエストンが愛用したピッケルなどがあります 1880年に上條嘉門次によって建てられた嘉門次小屋です。現在のご主人は4代目になります。奥にはウエストンが愛用したピッケルなどがあります 明神の二之池です。清冽な水が透き通っていて浅い底を見ることができます。よく見ると、ヤマメなどの魚の姿も発見できます 明神の二之池です。清冽な水が透き通っていて浅い底を見ることができます。よく見ると、ヤマメなどの魚の姿も発見できます
「氷壁の宿 徳沢園」です。井上靖はここに泊まって、「氷壁」を書きました。この宿から、屏風岩まではすぐ近くです 「氷壁の宿 徳沢園」です。井上靖はここに泊まって、「氷壁」を書きました。この宿から、屏風岩まではすぐ近くです 徳沢園の前は、気持ちのいいテント場になっています。近くに水場も設けられていて、気軽にテントライフを楽しめます 徳沢園の前は、気持ちのいいテント場になっています。近くに水場も設けられていて、気軽にテントライフを楽しめます
河童橋のすぐ近くです。カフェなどもあり、山登りをしない人で賑わいます。のんびりと自然の空気に触れることができます 河童橋のすぐ近くです。カフェなどもあり、山登りをしない人で賑わいます。のんびりと自然の空気に触れることができます ウエストン碑のレリーフです。毎年この碑の前でウエストン祭が開かれます。河童橋から対岸に渡り、下流へ少し歩きます ウエストン碑のレリーフです。毎年この碑の前でウエストン祭が開かれます。河童橋から対岸に渡り、下流へ少し歩きます
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